サイ・トゥオンブリー 紙の作品、50年の軌跡 展へ行ってきました。

サイ・トゥオンブリーは20世紀~21世紀を代表する抽象絵画/現代アーティストの巨匠のひとりです。ぼくは2点ほどしか彼の作品をこれまで見たことがなくて、実はそんな興味が惹かれる画家じゃなかったんです。

でも行ってみて、本当に驚きました。こんなに打ちのめされた展覧会は久々です。美術好きな方は絶対このトゥオンブリーの展覧会は見逃すべきじゃないです。この上半期のベスト1の展覧会でした。

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展示室は五つに分かれています。「ギャラリーⅠ」には、「50年代、80年代、2000年代」と、それぞれ彼の代表する作品が飾られてあって、「ギャラリーⅡ」からは、年代に沿って彼の作品が鑑賞できるような仕組みになっています。

今回は「紙」に描かれた作品のみに、彼の展示品は限定されています。

なぜこのような展示方法になっているかは、最後まで作品を鑑賞して、再び「ギャラリーⅠ」に戻ったときに、わかります。これは原美術館ならではの試みというか、キュレーターの才能というか、とにかくトゥオンブリーという画家もそうですけど、この展覧会自体が、本当にとても素晴らしいものです。

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『Untitled(無題)』1961/63年 50×71cm 鉛筆、色鉛筆、ボールペン、紙 ©Cy Twombly Foundation / Courtesy Cy Twombly Foundation

1950年代前半にアメリカで絵を描きはじめたサイ・トゥオンブリーは、いわゆる「抽象表現絵画」の第二世代にあたります。第一世代がアクションペインティングで有名なジャクソン・ポロックや、矩形の独特な色彩感覚の絵を描いたマーク・ロスコです。

彼の絵は「無題」とタイトル付されているものが多いのですが、実際なにかを描こうとして書かれているふうには見えません。いわば「落書き」に近いものです。でもそれがなぜアートなのか。彼は生涯その、描くこと、を執拗に追及しつづけたといえます。

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『Untitled(無題)』2001年 124×99cm アクリル絵具、ワックスクレヨン、鉛筆、コラージュ、紙 ©Cy Twombly Foundation / Courtesy Cy Twombly Foundation

1980年代後半あたりから、彼の絵がだんだん変わっていくのがわかります。色彩を意識したペインティングに向かっていきます。これは2001年に描かれた彼の代表作のひとつだと思いますが、三枚の紙が貼ってあって、それにアクリル絵具が塗られているんですけど、さらに上にホッチキスでもう一枚紙が止められてありました。

本当に驚きました。

彼の抽象絵画では、絵、色、記号、線、文字、それらがコラージュ=混濁されて、明確な「意味」を持っていませんが、後期の大作はとにかく圧巻です。

先述したマーク・ロスコや、やはり抽象絵画の巨匠のひとりであったニコラ・ド・スタールもそうですが、晩年はグレーなどの「感情表現」が難しい色に向かっていくわけですが、あくまで個人的にですが、ド・スタール以上にそれらの「色彩」に、豊かな表現を与えていることに成功しているように思えました。

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『Proteus(プロテウス)』1984年 76×56.5cm アクリル絵具、色鉛筆、鉛筆、紙 ©Cy Twombly Foundation / Courtesy Cy Twombly Foundation

彼の絵がなぜそんなに心を打つのか。

とにかく人がなにかを描くことのプリミティブなエモーションに接近しようとしているからだと、僕は思います。人は古来、文明を築く前から「描く」ことをはじめました。トゥオンブリーの絵には、描くことの純粋な生命の悦びが溢れているのです。そういう意味では、具象的絵画を再構築しようとした「新表現主義」と呼ばれた1980年代のジュリアン・シュナーベルアンゼルム・キーファーなどとも通じる方法意識もまた存在すると思います。

とにかく彼のアートは時代を超えて、生命を放ちつづける芸術であることは間違いないと思います。本当に素晴らしい時間を過ごさせてもらいました。トゥオンブリーに関しては別枠で、しっかりぼくはいずれ作家論にして記事にして書きたいと思っています。それくらい本当に衝撃的な一日でした。

原美術館って、品川にあって、ちょっとわかりにくいんですけど、是非足を運んでみてください。水曜日は20時までやっているので、ここが狙い時です!

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『Petals of Fire(炎の花弁)』1989年 144×128cm アクリル絵具、オイルスティック、鉛筆、色鉛筆、紙©Cy Twombly Foundation / Courtesy Cy Twombly Foundation

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