没後180年 田能村竹田 展に行ってきました。

千代田区丸の内の帝劇ビル9階にある出光美術館で開催されている「田能村竹田」展に行ってきました。

文人画って、聞きなれない人多いかもしれませんけど――実際あまり人気ないですね、土曜に行ったのにガラガラでした涙――、日本では江戸中期から幕末にかけて、隆盛を極めた一大美術ジャンルです。田能村竹田は代表的なひとりです。

文人画はもともと中国から影響されたもので、「南画」と呼ばれていました。今回はその本場の中国の文人画も何点か鑑賞できますが、日本と中国とで、違いがはっきりとわかります。文人画は書も同時に描いて、ある種の桃源郷を描くものなのですが、その志向が違ったものとして、日本では独自に発展を遂げたことがわかるようになっています。

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会場は五つに分れています。点数自体は少ないですが、竹田が絵をたしなみはじめた若い頃から、晩年までの作品を順を追って鑑賞できます。

もともと田能村竹田(安永6年・1777年-天保6年・1835年)という人は、豊後国岡藩(現在の大分県)生まれで、家は藩医であり、幕府に仕える医者の家系でした。けれど、儒者としての道を志していき、文人画家になっていきます。二十代の頃に描いたと思しき画が、今回は展示されていたんですけど、はっきりいってお世辞にもうまくありません笑。

竹田の絵には絶妙な詩的な味わいがあるといつも思います。彼は将来的にも、はっきりいって、その道の巨匠である池大雅のような技量をものにすることはできなかったとぼくは思っています。でも独特なんです。

竹田の絵にはやはり同じ文人画で特異な存在であった浦上玉堂(延享2年・1745年-文政3年・1820年)などとはまた違った、ある種の抽象表現を高めた技法があったと、ぼくは思っています。淡彩で濃度を出すとか、構図も非常に巧みさを狙ったものがあり、池大雅のよ うな 豊かな色彩感覚がない代わりに、清澄度が高く、なんともいえない空気感があるんです。

画が濡れているし、澄んでいる。彼にとっての技術を磨くこととは、すごく純粋的なものに向かっていく道だったんじゃないでしょうか。どの絵にも豊かな詩情が溢れていま す。ほのぼのとした自画像も彼の代表作ですけれど、ユニークなところも竹田節です。

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「目撃佳趣画冊」(部分) 田能村竹田 文政12年

今回の展覧会では、本格的に画家としての技量が発揮されはじめた頃の竹田の傑作が何点か観られます。これはさすがによいものです。中国絵画から直接影響を受けたであろう、モノクロームでダイナミックな作風のものから、濃墨の強い筆致と、表地の白の陰影法を対比的に用いて、雪夜の月光を抒情豊かに描いた絵など、これらはとりわけ素晴らしかったです。

蘭を水墨で描いた作には、「蘭は心で、心は蘭だ、筆遣いの巧拙など気にする必要はない」と自身でしたためていて、おかしいです笑 実際決して達者ではないんですけど、蘭の花が純粋なんです。「高潔」を意味する花をこのように描けたのは、竹田だけだと思います。

あと個人的には、小品といってよいでしょうけど、「梅・菊図」(四幅対の内・文政年間)は、前から竹田の中でぼくの好きな作品で、今回も展示されてあったので、嬉しかったです。素晴らしい作品だと思います。

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「梅・菊・山水図」(梅図) 田能村竹田 紙本墨画淡彩 文政年間

それで今回のクライマックスはなんといっても、この竹田展においては、六曲一双からなる「書画貼交屏風」(天保5・1834年)でしょう! これを観るために、今回ぼくは行ったようなものです。確かにとてもよいものでした。

最晩年、竹田が尾道で描いたこの屏風には、書と画が交互に配置されてあります。描かれたのはすべて動物です。鳩・猫・鴈・鷺・鵞鳥・蟹、が右から順番に並んでいます。竹田は動物を描かせたら天下一品なのです。とりわけ蟹の描き方なんて、一匹だけひっくり返っているんですけど、こういうユニークさも竹田らしく、実物を是非観てほしい紛れもない傑作といえます。

※               ※

今回は竹田以外の文人画の絵も紹介されてありました。池大雅、与謝野蕪村の両巨頭はもちろん、浦上玉堂、青木木米等、竹田の弟子の絵も展示されてあり、文人画をまとめて楽しめる展覧会でした。

出光美術館は、ジョルジュ・ルオーと、エドヴァルド・ムンクの常設があるので、これも毎回行くたびに作品が違うのが嬉しいところで、今回はムンクの「子供たちとアヒル」(1913)を初めて観ましたけれど、これがとてもよかったです。

出光は皇居を眺めながら無料のお茶を飲めるソファー室があります。ほうじ茶、麦茶、煎茶、と揃っています笑

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