夢つむぐ人 藤平伸の世界 菊池寛実記念 智美術館に行ってきました その2

港区の菊池寛実記念 智美術館で現在開催されている「夢つむぐ人 藤平伸の世界」に行ってきました。今回で、二度目ということになります。4回展示変えがあるため、今回は10/15~11/10の第3会期にあたります。

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www.musee-tomo.or.jp

とはいったものの、リスト表通りの展示とは、いざ足を運んでみたら、なっていませんでした笑、展示されてないものがあったり、今回見られるはずのものがなかったり、都合により云々とは、リストにはちゃんと書かれてあったんですけどね。一応説明をしておくと、オブジェ、陶芸、彫刻、書画など105の展示のうち、前回ぼくが鑑賞した「第一期」(8/8~12/6)と比べて、およそ12点ほどの展示替えはありました。前回観ていなかったもので、傑作だと思えたものもあったわけで、それがこれです。

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藤平伸 「花挿しの家」(撮影 大道雪代)

実用品としてみれば、花瓶なんでしょうが、作品としては「家」であり、ぼくにはこの作品は、まるで「夫婦茶碗」のように見えました。

朝鮮の焼き物が好みの藤平さんの作品は、やはり青磁器風の緑色も鮮やかですが、桜色のなんともいえない風味もみごとな質感を持っています。初期の頃の重たく鈍い質感の陶芸も、よい渋さを放っていますが、軽やかなもののほうが、やはりよいかもしれません。

あと今回は、藤平さんは「陶面」作りに凝っていた時期があったようで、前回観られなかった二点のそれらの作品を観ることもできました。茶道具も展示変えがあって、慎ましく穏やかな絶品で、十二支のオブジェも前回とは違うものが観られて、よかったです。

とにかく、なんでも作れた方なんでしょうね。やっぱり前回同様驚きました。水彩も出かけているんですけど、前回紹介した晩年の傑作の陶芸品「太郎の雪」(1998)のガラス絵が今回あって、これが本当に素晴らしかったです。

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藤平伸 「白童子」 2000

「太郎の雪」は三好達治のこの歌から、着想を得て作られたものだということです。こんな歌です。

太郎を眠らせ 太郎の屋根に雪ふりつむ

次郎を眠らせ 次郎の屋根に雪ふりつむ

※               ※

藤平伸は京都の五条坂の製陶所の次男として生まれました。終始故郷を拠点に活動をした陶芸家で、京都を離れませんでした。「自分のものが偏壺の形をとるのは、絵が入れやすいから、平面に近くなるため」と、その独特な詩情の溢れる作品形成の内幕を語っています。

晩年は「太郎の雪」に代表されるように、純粋な詩情の世界に、作品が向かっていきます。年を召され、枯れるほど「永遠の少年性」が増す、というのは、芸術の神秘です。「太郎の雪」が素晴らしいのは、ここに創作の秘儀がまさにあるからでしょう。

菊池寛実記念 智美術館は、現代陶芸を展示する都内随一の美術館です。規模は小さいですが、まず入館すると、篠田桃紅の大きな書画作品、「ある女主人の肖像」(1988)が、鑑賞者を迎えてくれ、すんなりと「異次元のアート」の世界へと導いてくれます。藤平さんの今回の個展は、12/6日まで開催されています。是非「アート」に興味ある方は、足を運んでみてもらいたいものです。本年度ナンバー1の展覧会だった、とぼくが太鼓判を押しておきます。

第一期(8/8~12/6)のレビューは、こちらにあります。

mannequinboy.hatenablog.com

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