ポンピドゥー・センター傑作展 へ行ってきました

上野の東京都美術館で開催されている「ポンピドゥー・センター傑作展」へ行ってきました。期間は6/11-9/22まで。前後期の展示変えはなさそうです。土曜の午後に行きましたが、かなり空いていました。ヴァシリー・カンディンスキーの「30」(1937・油彩、カンヴァス)が、6/17と6/24の時間限定で写真撮影が可能とありましたが、僕が行った時点で、期間は過ぎていたので、この記事がUPされる頃も、それも関係がないでしょう。

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www.tobikan.jp

パリには有名なルーブルがあります。「モナリザ」を所有する古代から近代までの美術品を所蔵、展示する美術館です。オルセーは19世紀を中心とする近代美術作品を所蔵、展示する美術館で、ポンピドゥーは20世紀の現代アートを扱っている美術館ということになります。

もともとポンピドゥー・センターは、1969年当時、ド・ゴール大統領の議会解散、ポンピドゥー大統領の選出という政治の季節を経て、1977年に開館しています。フランスは芸術に関しては政府も寛容で、一大観光名所でありますから、重要な施設(本来は美術品と図書館を兼ねる)だったわけですが、ポンピドゥーという、現代美術に留まらず、現代音楽や映画も所蔵する意図に関しては今述べた事柄以上の様々な問題が絡んでいました。

行ったことのある方ならわかると思いますが、ポンピドゥーはパリ、4区のセーヌ川に面していますが、その他の美術館に比べると、一面ガラス張りの壁と剥き出しのパイプ建築は一見古き良き芸術都市パリにそぐわない異様な存在を醸し出しています。僕が思うに、外観は世界一奇妙な美術館だと思います。けれども今やフランスでは御馴染みの観光名所のひとつになったと思います。2010年にはもうひとつの、ポンピドゥー・センター・メスが開館しました。この建物には日本の建築家坂茂も共同参加しています。

美術史的には、マチスに代表される「フォーヴィスム」とピカソ、ブラックの「キュビズム」からはじまる20世紀モダンアートを主な作品として扱い、今回はそのアンリ・マチス、ラウル・デュフィ、モーリス・ド・ヴラマンクジョルジュ・ブラックパブロ・ピカソら有名どころの作家作品から、1970年代頃のまでの20世紀が総括される展示内容となっています。

一年に一作家一作品という限定で、企画が為されており、作品は時代順に並んでいます。僕が観て欲しいと思うのは、アルマンやクリスト、クロード・ヴィアラの1960年代の作品でしょうか。あまり国内で観られる作品じゃないのです。どれも絵じゃないんですけどね。

実をいうと、僕は、ほとんど観たものばかりじゃないかな……と思って行ったんですけど、未見のものもあって、まあ、行ってよかったかな、と思いました。NYのポンピドゥーといっていい、やはりモダン・アートを扱う「MOMA」の展覧会は日本ではわりと開催されているんですが、僕が観たつもりになっていただけで、国内でも何度も観た印象があったのですが、ひょっとしたらポンピドゥー展は初かもしれません??

個人的に、これは珍しい、と思えたのは、アレクサンダー・カルダーの「4枚の葉と3枚の花びら」(1939)、そして、去年から今年にかけて初の大々的な個人展覧会が、日本でようやく催された、ピカソに彫刻を教えたとされる逸話で有名な、20世紀を代表する彫刻家、フリオ・ゴンサレスの「叫ぶモンセラの頭部」(1942)の二点です。

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アレクサンダー・カルダー 「4枚の葉と3枚の花びら」(塗装金属の板、棒、ワイヤー・1939)

カルダーは「モビール」という天井から吊られた動く彫刻作品で有名です。この「4枚の葉と3枚の花びら」は、その美術様式と、反対の「スタビル」という、いわば、動かない彫刻作品、との融合的作品で、これは、僕は初めて観たので、とてもよかったです。

フリオ・ゴンサレスの作品は、パリ万博でピカソの「ゲルニカ」と並び展示された、スペイン市民戦争における民衆の絶望をテーマにしたブロンズによる彫刻作品で、鍬と子供を持つ農民女性の叫んだ表情が、痛々しくも生々しいものでした。これは彼の代表作のひとつなのですが、先述した「フリオ・ゴンサレス展」では、展示されていなかったのです。

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ニコラ・ド・スタール 「コンポジション」 (油彩、カンヴァス・1949)

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ジョルジュ・マチュー 「ロタールはオトンのためにオート=ロレーヌの地を去る」 (油彩、カンヴァス・1954)

あと、個人的には、抽象画家のニコラ・ド・スタールの「コンポジション」(1949)、ジョルジュ・マチューの「ロタールはオトンのためにオート=ロレーヌの地を去る」(1954)辺りは、好きな作家なので、嬉しかったですね。

あと、クリス・マルケルの映像作品『ラ・ジュテ』(1962)は、ポンピドゥー所蔵だったのか、と知って、もともとこの映画のことは知っていましたが、マルケルの作品はソニマージュ――音と映像との芸術――的な実験的映画で、詳しくいうと、映像ではなく、写真の映像化であり、ゴダールのような音の混沌とした洪水はなく、そのモノクロの映像に見合うように、沈黙に支配された無声映画的な音楽の使い方が特徴なのですが、彼の作品がやはりアートなのは、「映像」と「音」との、その微妙なアンバランスさにこそあることは再認識しました。

この作品は、テリー・ギリアムの『12モンキーズ』に影響を与えたことは有名ですが、テーマも、時間と記憶をめぐるもので、彼の作品は鑑賞者の「ものの見方」そのものを問うています。30分にも満たないSF的作品ですが、美しくて悲しい映画で、一見の価値ありです。

※          ※

東京都美術館は、昨年の「モネ展」等、あまりの展示のお粗末さに、もうしばらく行かないでいいかな、と思った美術館だったんですけど笑、まあ、行ってしまったわけですが、これだ、という作品がない、目玉がなかったことは、正直否めません。ピカソシャガールマティスもあったのですが、ほとんど既視感に包まれたような展示内容で、ある程度の美術鑑賞者の方ははっきりいって楽しめないと思います。逆に、初心者ですと、モダン・アートなので、抽象画やポップ・アート的作品が多いため、よくわからないかもしれません。

僕みたいにお目当てのアーティストがいるなら、行ってみてもいいかな、っていう展覧会でしょうか。

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