ビジネスを成功させるための7つのステップ  『成功する人たちの起業術 はじめの一歩を踏み出そう』 マイケル・E・ガーバー (原田喜浩訳 世界文化社) part2

マイケルEガーバー

マイケル・E・ガーバーの著作レビューの後半です。前半はこちらにあります。

ガーバーが説いている、事業を成功させるための「事業発展プログラム」は7つのステップに基づいています。その基本には、次の3つのルールが、まず前提としてあります。


1 イノベーション
どうすれば、最適な方法でこの仕事ができるだろうか? 顧客が望むものを手に入れるために、なにが邪魔になっているだろうか? 顧客の視点を持つことを最大化し、同時に、事業の無駄をぎりぎりまで省くこと。たとえば、売り場での声のかけたかひとつで顧客の心境を変させることができるのに、ほとんどの企業はそれをできていない。イノベーションとは売り上げの為の実行のことです。
2 数値化
イノベーション後の効果について、それを明確に数値化していくこと。そもそも数値化ほど重要なことはありません。午前のほうが客が多いのか? 問い合わせは何時頃が多いのか? この製品は週にいくつ売れるか? すべてを数値化する。そうすれば、経営判断を間違えなくなります。
3 マニュアル化
マニュアル化というと、商品やサービスの質を安定化させるために、現場レベルの自由を否定するものと一見えますが、重要なのは、イノベーション、数値化、マニュアル化のサイクルを常に休むことなく先鋭化させていくということです。

著作における対話者であるサラが、現場の定員のマニュアル化に対して、ロボットみたいで味気ない、という話に対し、ガーバーは説得します。つまり、その3つのサイクルが動いていれば、店員たちは形式化された仕事をこなしているとは思わないはずだ、と。もし、毎日毎日同じことばかり繰り返している、と思う従業員がある企業があれば、それはイノベーションを行っていない証拠である、ということです。さらに、この3つを取り合わせることで、仕事は自分の内面を見つめ、自分を表現する場へと変化する、ともいっています。このガーバーの言葉は胸を打ちます。

宝石を見つける方法はたった一つ、無心で技に磨きをかけること。仕事と自分を一体化させるためにね。宝石がいつ見つかるかはわからない。でも、かならず宝石が見つかることを信じている。そして、実際に宝石は見つかるんだ。

宝石が見つかったときに、職人は真の熟練工になります。成長に終わりはありません。人に教えることによって、さらに多くを学ぼうとします。事業開発プロジェクトとは、探求を続けることにほかなりません。

起業は試作モデルを作りはじめることからはじまります。具体的な7つのステップについて、紹介していきます。

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マイケル・E・ガーバーの提唱する7つのステップ

1 事業の究極の目標を設定する。
2 戦略的目標を設定する。
3 組織戦略を考える。
4 マネジメント戦略を考える。
5 人材戦略を考える。
6 マーケティング戦略を考える。
7 システム戦略を考える。

1 事業の究極の目標 あなたが望む人生の目標とは?

最初にやるべきことは、ミッションの起立です。ぼくがこのブログで常々いっていることでもあります。起業にあたって、まず重要なのは、ミッションなんです。それは明確な人生の目標です。仕事とは、それを具体化し、実行に移すことにほかなりません。さらに、このことが従業員にも影響を及ぼすということです。ガーバーはひとつの比喩として、ある男の半生をここで語って、カーテンを取り払わなければならない、といっています。カーテンの向こうにいるのは、自分自身です。

2 戦略的目標 人生設計の一部として事業を考える

事業は人生の目標ではなく、それを達成するための手段にすぎない、とガーバーはいっていますが、そのための基準が以下の2つです。

売上総利益 経営利益 税引後利益の目標値の設定。そして最終的なゴールは、会社を売却すること、です。さらに、どれくらいで売却したいか。いつ売却したいか。これらの質問の答えが、お金に関する基準となります。

取り組む価値はあるのか、ということも大事な論点です。

「あなたが考えている事業は、多くの消費者が感じている不満を解消できるものだろうか?」「どのような事業を目指すべきか?」「顧客とは誰か?」「顧客が何かを感じるとすれば、商品に対してではなく、お店や事業に対してである。事業を成功させるためには、この違いを理解しなければならない。」「顧客とは誰か」「試作モデルが完成するのはいつか」「営業エリアの把握」「顧客は個人か法人か、両方か」適切な基準を設定する企業こそが、結果を残しています。

ここでまた重要なサラの言葉があるので、引用します。読者にもクリアーになるのではないでしょうか。

「私が望んでいるのは事業を成長させることであり、他にやりたいことをするためにも事業から自由になることよ。とはいっても、他にやりたいことが何なのかは、今すぐはわからないけど」

「私のお店は『思いやり』を伝える場所にしたいの。あなたの話によれば、私が思いやりのある人間なら、私のお店にも思いやりが表れるはずよね? だとすれば、お店で売っている商品はパイだけど、お店を出るときにお客さんが感じるのは『思いやり』だって言えるようにしたい」

3 組織戦略 仕事の役割分担を明確にする

ガーバーはここで組織図を完成させることがスモールビジネスにとって非常に有益性をもたらすものであり、個人に依存した組織には限界があると警鐘を鳴らしています。

図として具体的に記されてあるので描きます。

株主-社長

営業担当副社長 マーケティング部長 営業部長

        |

製造担当副社長 製造部長 施設管理部長 顧客サービス部長

        |        

財務担当副社長 財務部長 経理部長

組織戦略について、重要な論点をあげます。まず従業員に仕事を任せられる仕組みを作ること。「最初は組織の下層部からとりかかる」「戦略とは社長が行い、職人とは戦術を行う人」「イノベーションの効果を数値化し、最も効果的だったものをまとめ、営業マニュアルを作る」等です。ガーバーはさらにこういっています。

人生の目的から事業の戦略目標が定められ、戦略目標から組織図が導きだされる。組織図を創るところから、着実に一歩前進することで、最終的に人生の目標が達成されるのである。

再び職人的感性で起業することの危険性を、ガーバーは再び述べていますが、自分の仕事はほかの誰でも同じようにできないとダメであり、結局職人とは自己満足の世界に終始するものにほかならないのだ、ということです。事業が機能しはじめるためには、組織図が必要になります。自分で作ったゲームに忠実に従うことが、リーダーの仕事です。

4 マネジメント戦略 システムが顧客を満足させる

企業にとって有能なマネージャーは決して必要ではありません、といったら驚くでしょうか。重要なのは「管理システム」です。ガーバーがここで説いているのは、単なる管理のことではなく、マーケティングの試作モデルのことです。少し難しい話になります。

この章でガーバーはある心地よいホテルサービスを例にだしています。このふらっと立ち寄ったホテルがガーバーをひどく満足させたのは、管理システムが隅々に渡って浸透していたからです。実はシステムが顧客を満足させていたわけです。ボーイは業務マニュアルに沿って動いていただけに過ぎません。

大切なことは、マッチ、ミント、コーヒー、新聞ではない。誰かが私のことを考えてくれているということなのである。そして「いつも」考えていてくれているのである!

5 人材戦略 事業とはゲームである

ここでは、思い通りに従業員に働いてもらうためにはどうしたらよいのか、スモールビジネスにとっての最大の課題について書かれています。改めて浮き彫りにされるのは、ミッション、です。

先にあげたホテルの従業員がなぜ機敏に労働し、ホテルに勤めることにそこまで意欲を感じているのか? それはオーナーの経営理念が行き届いているからにほかなりません。しかし、本質的にそれはマニュアルかもしれない。でも確かに、従業員は壮大な経営理念の一部として動いている価値を自分に感じています。ここが重要なんです。多くの企業では、従業員はなんのためにこの仕事をしているのか、把握していません。これで企業全体が活性化するはずがありません。

企業はトップダウンである必要があります。しかし、これは軍隊的規律や、ましてや厳罰や習慣によって行われるものであってはダメです。重要なのは経営理念なんです。彼らを動かしているのはシステムです。しかし、彼らは自発的にそのシステムに取り組んでいるのです。いわゆる一般的なシステムと、ガーバーがこの著作で唱えているシステムが異なるものであることが、ここで明確になるでしょう。

ガーバーは経営とはゲームである、とも例えていて、面白いこともいっていますね。従業員を飽きさせないために、ときどき従業員に喜びの勝利の感覚を味あわせなければならず、飽きさせないためにゲームを変化させなさい、と。事業をシステム化することは、人間を機械化することではなく、人間を重視したものであるということを心得るべきです。起業家としての経営理念、システム、従業員、この3つが動かなければ、経営は上手く立ち回りません。

6 マーケティング戦略 顧客の言葉を学ぶ

この終わりの2章は、さらに難しいです。なにが難しいか、というと、実践しなければ、見えてこない部分があるからです。とにかく実践しましょう。マーケテイングについてです。初っ端でガーバーは的確な言葉で読者の胸を撃ちぬきます。

そしてたいていの場合、「顧客が望むもの」についてのあなたの想像は外れてしまう。

心理学からのアプローチが登場します。ぼくも以前「顕在ニーズと潜在ニーズ」について、当ブログで書きました。人の購買意欲とは「潜在意識」からもたらされます。それが「顕在意識」に移動するとき、どのような変化が起こっているのか? 理由づけです。ガーバーは、すでに顧客にとってその商品を買うか買わないかは、店に入る前から決めていることだ、ともいっています。『顕在ニーズと潜在ニーズを使い分ける』

マーケティング戦略には二本の柱があります。

顧客でさえ、自分の欲しいものがわからないのに、どうして私がしることができようか? この質問にガーバーは、顧客が誰なのかを知っているという属性分析と、なぜ購買するのかを理解できる心理分析を理解することで、科学的アプローチが可能になる、といっています。

人が無意識にもっている期待や価値観を変えることは不可能なのである。そう考えると、提供する商品やサービスに合う価値観をもった人を探すほうが効果的ではないだろうか?

顧客の属性分析とは、つまるところ、自社と顧客のとの関係性を深堀りせよ、ということです。マーケテイングとは、顧客の属性を知り、その人たちに来店してもらう術を考え抜き実践し、さらに自動化することです。顧客の属性を知って、ターゲティングする。顧客が他の店ではなく、自分の店を選ぶために事業はどうあるべきか。ロゴひとつにとっても、多大な時間と経費をかけるべきです。なぜコピーライターがたった一文で大金を稼ぐのか? 小霜和也さんの著作についても、以前ぼくは語りました。彼らは徹底的で緻密なマーケティング戦略をとっています。参考にしてください。『ここらで広告のコピーの本当の話をします。』

ガーバーは約束という言葉も用いています。リピーターになってもらうには、顧客が店を出るまでのあいだにその約束をとりつけなければならないということです。

7 システム戦略 モノ、行動、アイデア、情報を統合する

システムとは、相互にモノ、行動、アイデア、情報の集合体である。そして相互作用を繰り返す中で、他のシステムへの働きかけも行う。

このまとめの最終章において、ガーバーは著作の命題であるシステムの必然性について述べています。実はこの世界のすべてはシステムであるといっています。具体的に、企業においては、三種類のシステムがあります。ハードシステム、ソフトシステム、情報システムです。

ここで重要だと思われる箇所は、販売システムにおける六段階で、これを実行すれば、必ず利益はあがります。

1 販売プロセスの中で、顧客の意志決定に影響を与える重要なポイントを見つけ出す。

2 ポイントごとに、顧客の心をつかむための脚本を作成する。

3 脚本に必要な資料や道具を準備する。

4 脚本を暗記する。

5 営業担当者にも脚本が演じられるように教育する。

6 顧客に合わせて脚本が変えられるようになるまで教育する。

販売システムについてもう少し述べます。次の三つが重要です。

  • アポイントメントをとる

アポイントメントは商品販売をするためではなく、会う約束さえとりつけられれば成功です。ここでベネフィットの重要性を説いています。「だったら話が聞きたい」と、向こうからいってくることになるわけです。

※ ベネフィット 顧客が商品から得られるメリット。商品そのものではなく、それを買うことによって顧客にどのような価値が発生するのか。
  • 顧客ニーズを分析する

顧客のソリューション(悩み→解決)を巧みに活用し、顧客との関係性を漂わせます。

  • 解決法を提案する

あとは、どちらの解決法がいいと思いますか? と販売すればよいだけです。販売とは押し売りではなく、結果的に、顧客が自発的に買ってくれる状態に導くことです。このために段階を追ってのシステムが重要になるわけです。これを繰り返し、研磨していくわけです。営業は営業システム化され、マーケティングはマーケティングシステムを創りだすことになります。

情報システム収集についての箇所は少し厄介で、やはり実践ありきの問題だからです。すべての顧客とのやりとりを数値化して保管することが勤めです。これを見れば、どこをカットし、どこに投資をしたらよいのかが、明確化されていきます。情報を集めないままゲームをするのは、勝てるはずのないゲームをすることだ、とガーバーはいっています。

最後にですが、事業の究極の目標、戦略的目標、組織戦略、マネジメント、人材戦略、マーケティング戦略、システム戦略、この著作で述べてきたこれらすべては相互依存の関係がある、といって、著作は締めくくられています。

ぼくの感想

エピローグに書かれた、ガーバーの言葉が胸を撃ちます。

多くの起業家は、スモールビジネスを通して世界を変えようという高い意志をもちながら、自分だけは変わろうとしないのである。

外の世界にどれほど働きかけても、人生を変えることは不可能なのである。

人生を変えるためには、事業発展プログラムを創ることです。「イノベーション→数値化→マニュアル化」のプロセスを実践することです。この著作を読んで、ここは欠如しているところだな、と思ったら、戦術をたて、実践してみることをお勧めします。必ず結果は出ると思います。

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